空き家問題について(その①)

 数年前、野洲市の老朽アパートが代執行で取り壊しされていました。

 大きく報道されていたので、ご記憶にある方も多いのではないでしょうか?

  https://www.kkr.mlit.go.jp/kensei/jutaku/ol9a8v0000035gqjatt/ol9a8v000003xd52.pdf

  https://www.city.yasu.lg.jp/gyousei/kaiken/h30/1551057176506.html

 空き家除却の代執行として、全国的に見てもかなり大きな規模のものでした。

 長年危険な状態が続き、近隣の方は非常にご心配だったと思います。ひとまず、除却されてほっとされているのではないでしょうか。(すぐ隣にもう一棟あるとのことですが・・・。) 

 費用面では、取壊しに約1億2000万円かかり、それを共有者9名から1300万円ずつ回収すべきところ、いまのところ3名分のみの回収にとどまっていると報道されています。4割は国の負担ですが、野洲市は、人口5万人くらいの比較的小規模な市ですので、結構な負担にはなったのではないでしょうか。 

 代執行とは、行政上の義務を義務者が履行しない場合に、行政庁が代わりにこれを行って、義務者から費用を徴収することです。

 

 義務者に代わって行政自ら空き家等を除去してしまうことまでできる大変強力な手段なのですが、少し前まで、代執行は、ほとんど行われておらず、抜かずの宝刀とか、・・抜けずの宝刀・・と言われていました。

ロースクールでも、使われることはほぼないと聞いた記憶があります。先生の苦笑いの表情も覚えています(懐かしいです・・・涙)。せっかく制度があるのに、必要な場面で実施されずに、放置されていて困ったものですねというニュアンスだったのだと思います。

 ところが、(その後月日が流れ・・・)2015年に空家法(「空家等対策の推進に関する特別措置法」)が施行され、約7年間で約500件くらいも老朽空き家の除却代執行が行われています。

 短期間に代執行がこれほど多数行われるようになるとは、以前は行政法の先生も含め誰も予想できなかったことだったのだと思います。

個人的には、地方行政がこんなに積極的に動けるのかとおどろきましたし、それほど老朽空き家問題が深刻だということなのだと実感します。

 さて、個人的に大注目しているこの空き家除却代執行ですが、当事務所のある彦根市ではどうなっているのでしょうか? 

                                     その②へつづく→

                                     作成:若山 桃子

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