貸金業者から悪質な取立てを受けたり、借入れや月々の返済がふくらんで困っている場合はご相談ください。 解決の方法としては、ケースにより、以下のような手順になります。

1 あなたの借金が正確にはいくらあるのかを調べます

あなたが貸金業者からの請求書で通知される残高は、法律上正しい残高とは限らないので注意が必要です。 
なぜ、法律上の正しい残高にならないかというと、以前は、貸金業者は利息制限法という法律上に定められている制限利率を超える利率で利息を取っていたためです。法律に従った処理をすれば、とりすぎていた利息分は借金の返済に回されることになるので、見かけ上の残高より減ることがあります。

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そこで、法律上正しい残高を調べるために、まず、弁護士の受任通知とともに取引履歴の開示を求める通知を貸金業者などの債権者に送ります。この弁護士の受任通知の発送により、ほとんどの場合、あなたに対する取立ては止まります。これが弁護士に依頼する大きなメリットです。
取引履歴とは、あなたが、いついくら借りて、いついくら返済したかの記録です(銀行の通帳のようなものです)。貸金業者には取引履歴を開示する義務があり、この義務に違反した場合には罰金の対象になりますので、ほとんどの場合開示されます。

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取引履歴が開示されると、弁護士が引直計算を行います。引直計算とは、これまでの取引履歴に基づいて、利息制限法の制限利率によって計算し直すものです(制限利率は、元本が10万円未満の場合には年20%、10万円以上100万円未満の場合は年18%、100万円以上の場合は年15%です。)。 引直計算により、借金の残高が、貸金業者から言われていた金額より少なくなる場合もありますし、あるいは既に返しすぎて過払いなっている場合(例えば、完済した場合や長期間にわたって返済し続けていた場合)もあります。

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2 過払いになっている場合には貸金業者に返還請求をします

引直計算の結果、あなたがすでに返しすぎて過払いになっていることがわかった場合には、あなたが払いすぎた分を貸金業者から逆に返してもらうことが必要です。
金額や貸金業者にもよりますが、話し合いで、全額あるいは一部について返還を受けることができる場合もありますし、話し合いで折り合いがつかなければ過払金の返還を求める裁判をすることが必要な場合もあります。

3 借金が残っている場合

引直計算の結果、借金が残っている場合もあります。このような場合にはあなたの財産や収入、家計の状況により、次の4つの方法の中から適したものを選んでいきます。

① 破産

借金が残っていて返済が困難な場合には、裁判所に破産の申立てをすることができます。浪費やギャンブルなどで借金を重ねた、7年以内に破産の手続きを申し立てたことがあるといった一定の事実(これを免責不許可事由といいます。)がなければ、借金は全額返済しなくても良いことになります。ただし、財産については、一定の範囲内の現金や預貯金、生活に最低限必要な家財以外は換価して債権者への弁済に充てられます。
破産の手続きを取ると、後で親兄弟や子どもに迷惑がかかるか心配される方がありますが、家族に迷惑がかかることはありません。ただし、保証人になってもらっている人がいれば、債権者は保証人に請求しますので注意してください。
また、親戚や近所の人や職場の人に破産の手続きを取ったことを知られるのか不安に思われる方がいらっしゃいますが、基本的には心配しなくても良いでしょう。ただし、退職金の額を調査する関係で、雇主に、破産手続きを取ることを説明することが必要になる場合があります。
他のデメリットとしては、警備員などの仕事につけなくなるといった職業制限があります。

② 個人再生

個人再生とは、裁判所に申し立てて、債務の8割をカットして、残りの2割を、原則として3年間で払っていくという手続きです。ただし、最低100万円を返済しないといけないといったとても複雑な要件がありますので、この手続を取ることをお考えの方は、必ず事前に弁護士に相談にされることをお勧めします。
この手続の最大のメリットは、住宅ローンを組んで自宅を購入した場合に、自宅を手放さずに借金の返済を続けていくことができる場合があるという点です(ただし、住宅ローンについては一切カットされません。)。デメリットは、破産の場合とほぼ同じですが、破産したときのような職業制限はありません。

③ 任意整理

この手続きは、裁判所を利用せずに、毎月いくら返していくか、どれくらいの期間返し続けるかといった返済計画をたてて、弁護士を通じて貸金業者と話し合います。折り合いがつけば和解書を取り交わします。後は、和解書に書いてある条件通りに返済していくことになります。

④ 特定調停

この制度は裁判所で借金の返済額や返済方法を話しあって決めるというものです。あなたに定期的な収入があり3年以内で借金の全額を返済できるような場合にはうまくいくことが多いようです。弁護士に依頼しなくても、この特定調停の制度を使うことは十分可能です。平日でも休みが柔軟に取れる方で、事務的な作業になれている方にお勧めです。

4 その他

長期間借金を払っていなかったのに、突然、業者から少額でも良いので払ってくださいという通知が来ることがあります。このような場合には、必ず払う前に弁護士に相談してください。
消滅時効が完成しており、支払わなくても良い場合があります。