成年後見支援信託
高齢や病気等のために、判断能力が不十分になった方が、有効に法律行為を行うなどの目的で、家庭裁判所から、親族や、弁護士などの専門科が、「成年後見人」として選任されることがあります。
この「成年後見制度」はお聞きになられたことがある方も多いと思いますが、近頃、そこから一歩進んで「成年後見支援信託」という制度が、広がりつつあります。
これは、成年後見が適用されているご本人(被後見人)の財産が、一定のまとまった額以上の財産がある方(おおむね1000万円以上)を対象として、家庭裁判所が、ご本人さんの財産を、信託銀行に、財産を信託することを推奨する制度です。
ここでいうところの「信託」というのは、ご本人さんの財産を、信託銀行に預け入れることが想定されていますが、いったん信託契約が締結されると、裁判所の介入なくして、成年後見人が引き出したりすることもできなくなります。
現時点で、信託を取り扱っている銀行のうち、滋賀県内に本店がある銀行は一行もありません(支店レベルでは、三井住友信託銀行、りそな銀行の支店があります)。
したがって、この制度を利用すると、すなわち、滋賀銀行、滋賀中央信用金庫などの地場の金融機関に、せっかく、大きなまとまった額の預金があるのに、それらが、大部分が解約されてしまい、県外の金融機関に流出していっているのではないか、と危惧されるのです。
このような危機感からか、奈良県を地場とする「南都銀行」は、昨年12月に、信託業の許可を取ったようです(南都銀行ホームページより)。奈良の銀行で出来るのに、滋賀の銀行に出来ないことはないだろう(!?)と思うのですが、いかがでしょう。地元の預金が、なるべく地元に残るように、滋賀県内の金融機関にも、何らかの対応が必要ではないかと思います。
弁護士 岡村 庸靖