寄与分にもポイント消失期限⁉(相続改正)
寄与分を遺産分割の調停や審判で主張できる期間に制限が設けられます。
4月からの改正相続法の施行により、相続開始から10年が期限になります。
10年経過するまでに、家庭裁判所に遺産分割の調停・審判の申立てをしておく必要があります。
すでに相続が開始しているケースについても、遡及的に適用されますので、要注意です。その場合は、相続開始から10年か、施行から5年(令和10年3月31日)のどちらか遅い方が期限になります。
寄与分とは、遺産の維持増加について特別の寄与があった場合には、遺産からその分を差し引いてわけ、寄与分のある相続人にその分を乗せて相続分を計算するという制度です。
被相続人の事業を手伝っていたとか、被相続人に対して財産給付をしていたとか、療養看護をしていたなどの場合です。
寄与分は、遺産分割において、主張を希望される方が多いところですので、これが認められなくなるというのは、結構重大なことです。
また、基本的に、遺産分割は、法定相続分にそってわけるのが基本ですので、寄与分を認めてもらうのは実は結構ハードルが高いものです。
「特別の寄与」が要件ですので、ふつうに家族として一般的なお世話をしていたりということだけでは認められません。夫婦間の協力扶助義務、親族間の扶養義務・互助の義務がありますので、こうした関係にある相続人が、生活の面倒を見ていたとか、身の回りの世話をしていたということではなかなか寄与分としては認められにくいです。
そうはいっても、そうした負担が特定の方に偏ってしまっていた場合には、お世話をしていなかった方との間に不公平感はあると思います。そうした場合、寄与分として認められなくても、扶養料の求償というような形で請求する方法もあります。
寄与分として、比較的認められやすいのは、やはり、被相続人と一緒に事業をしておられて、その収益で相続財産が一定形成されていることがわかる場合や、相続人のためにまとまった額のお金を出していた場合です。
親の家のリフォーム費用を出してあげていたとか、親が子を相続する場合などで住宅購入資金を援助していたときなどがこれにあたります。
芸能人の方などで、親に家やマンション、別荘などを買ってあげたというような話がときどき報道されていますが、特別の寄与にあたります。そういう場合、実際、親御さんの名義にしているのかはわかりませんが、自身の名義にしておいて、親御さんに無償で使用してもらっているという場合も、特別の寄与にあたる可能性が高いです。
10年間の期限というと長いようですが、そうでもありません。
身近な方を亡くされて、喪失感や疲労感でいっぱいで、なかなか遺産分割に取り掛かる意欲が持ちにくいということもあるかもしれません。
そのようなときは、ひとまずは、期限もあるということを頭の隅においておくだけでも良いかもしれません。
また、相続が開始していてもそうでなくても、家族のなかでもなかなか遺産や相続の話は切り出しにくいこともあると思いますので、こういう期限ができたらしいですよ・・、ということを何か話を始めるきっかけにしていただくのもいいのではないかと思います♪
寄与分に限らず、相続全般につきましては、ぜひ当事務所にご相談ください♪
作成:若山 桃子
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