女性の相続分は少ないの⁉(相続問題)

 女性が相続する額は平均で男性の半分以下。

 ・・・これは結構ショックな数字です・・・。

 相続した額について、男性の平均は2885万円、女性の平均は1301万円。

 全体の平均が2114万円。

 三菱UFJ信託銀行さんの調査で、相続を経験した男性女性それぞれ約300人から聞き取った結果をもとに、税理士法人チェスターさんが計算して公表されていました。

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000036656.html

 民間の調査で、サンプル数がそう多くないですが、国税庁の統計や、司法統計などでは、私の見る限り、男女別に調べたものが見当たりませんので、貴重な調査結果だとおもいます。また、もとのデータと計算方法も明示していただいているので、概ね信用できるデータなのかな・・と思います。ですので、今回は、その前提で、この記事を書かせていただきます。

 日本では、女性の平均賃金は男性の65%くらいしかない・・という男女間格差の大きさが、諸外国と比べてもずっと深刻な問題であり続けていて、そのことは常々気になってはいたのですが、まさか、相続においてもこれほどの差があるということは考えたことがありませんでした。

 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/11/s1129-3c.html

 相続のご相談で、たまに、長男さんが単独する家督相続が当然の前提のようなお話がでることがあり、ご年齢や地域性によっては、まだ家督相続に近い習慣が色濃く残っているところもあるのかな・・と感じることはときどきあります。

 もちろん、相続人のみなさんがそれで納得して合意されるのであれば、それで良いのですが、そうでない場合には(そうでないからご相談いただいているという場合が多いですので)、もちろん、家督相続の制度については、戦後すぐに廃止されていて、今は(・・というかここ75年くらいは)、法定相続分は、配偶者さんが半分で、お子さんは男女関係なく均等割になっており、遺産分割の基本になりますよ・・とお話しさせていただいています。

 相続で、弁護士にご依頼いただくケースは、たいてい相続人間で主張に食い違いがある場合ですので、遺言等がなければ、基本的には法定相続分をもとに、特別受益や寄与分を検討して、調停で話し合いがつかなければ、裁判所が審判で具体的相続分を判断することになります。

 ですので、もちろん、男性だからとか、長男だからという理由で多く相続分が認められることはありません。遺言等のない場合で、裁判所で判断を受けたケースに限れば、男女差というのは基本的にないはずです。

 また、遺言を残す方は、およそ10~20%くらいで、そもそもそう多くありません。

 そのうえ、女性は配偶者より長生きする場合が多いので、相続する機会が男性より多いはずですので、その分、合計でたくさん相続していてもおかしくないと思います。

 それなのに、平均で2倍以上もの差がでているということは、おそらく長男さんの単独相続とか、それに近いような形で合意されている、あるいは争われはしないという場合が、相当多いのかなと推測します・・・。

 そもそも相続の発生(死亡)数が、年間140万件ほどあるなかで、裁判所に遺産分割の調停等が申し立てられるのは、1万件台前半くらいです、1%にも満たないレアケースという状態です。

 裁判所に持ち込まれないケースにおいて、これほど男女の格差が存在しているというのが、個人的にはけっこう衝撃です。

 もちろん、被相続人さんのご意向が尊重されることや、相続人の方が、納得できる分け方であることが大切ですので、個々の事案においては、男女差だけを取り沙汰することにはあまり意味がないかもしれません。

 でも、賃金だけでなく、相続においても全体として、これほどの差があるのであれば、これはなかなか大きな問題なんじゃないかなと個人的には思います。

 今後、国による詳しい調査が行われることを期待しています (;´・ω・)

 当事務所では、相続に関するご相談を承っております♪

 もし、ご家族から提案された遺産分割の内容に、あれ!? と思われたら、ぜひご相談ください♪♪

                          作成:若山 桃子

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